緑健児ーフルコンタクト空手初の統一世界チャンピオンへの道


フルコンタクト空手初の統一世界チャンピオンへの道、今大会が新たな歴史のスタートとなる。

2025年、ついに待望のWFKO世界大会の開催が決定。この第9回全日本大会は日本代表選抜戦となった。男女10階級で日の丸を背負う権利を得るのは各3名。例年以上に熾烈な上位進出争いとなることが予想される。緑健児理事長に世界大会への思いと今大会の展望を聞いた。

――第9回目の全日本大会は、来年5月31日・6月1日に開催される第1回WFKO世界大会の選抜戦となりました。
「ついに世界大会の開催が決まったのは非常に喜ばしいことです。本来は2020年に予定されていた大会ですが、新型コロナウイルスの影響で中止となってしまいました。当時選抜されていた日本代表メンバーも闘う機会のないまま解散することになったのは残念でしたが、気持ちも新たに再び代表権を狙って今大会に出場してきている選手も多数いるので、あらためて世界大会への期待が膨らんでいます」

――前回の選抜戦が2019年でしたから、5年の歳月が経過しました。当時中学生だった選手たちも一般部で活躍するようになってきています。
「毎年の大会を見ていて感じることですが、若手の台頭が著しいですね。フルコンタクト空手界の裾野の広さ、各流派の先生方の指導力、そして選手たちの情熱や勢いがひしひしと伝わってきます。このようにフルコンタクト空手が盛り上がってきている今だからこそ、世界大会の誕生は大きな意味を持つと思います。青少年大会、全日本大会、世界大会と“最強”への道すじが整ったことで選手たちはさらにモチベーションを高めていくでしょう」

――どんなスポーツでもそうですが、世界への階段が続いている競技は選手もサポーターもより熱が入りやすいですよね。
「日の丸を背負うということは、やはり大きいと思います。そこには重圧もありますが、そのぶん達成感や責任感を味わうことで人生が変わるくらいの経験を得ることができます。実際、日本代表に選ばれた選手は急速に力をつけていきますし、人間的にも成長します」

――たしかに、そう感じます。
「現在JFKOには364(2024年4月現在)の流派団体が加盟していますが、いくつかの組織は独自で世界大会を開催しています。しかしWFKOはフルコンタクト空手界初の世界統一組織なので、この世界大会こそが最強最大であり、真の世界ナンバーワンを決める舞台となります。非常に価値の高いものになると思いますね」

――フルコンタクト空手の統一世界チャンピオンという唯一無二の称号を獲得できるわけですからね。
「はい。ですから来年の世界大会は空手界の歴史においても大きな一歩になるはずです。このJFKO全日本を勝ち抜いて代表権を得ることは簡単ではありませんが、選手たちにはぜひ初代世界チャンピオンを目指してがんばってほしいですね。また、世界大会では日本を背負うとともに、自身の流派団体の誇りもかけて闘うことになります。その選手が活躍することで、所属道場も注目を集め、盛り上がっていくと思います」

――道場にとっても飛躍のチャンスになりますね。
「会場は東京オリンピックで使用された有明アリーナに決まりました。世界大会にふさわしい1万数千人を収容できる国内最高峰の会場なので、それも選手たちのやりがいにつながると思います。大会当日は『KARATE EXPO』というコンセプトを掲げ、試合以外のイベントやブース設置など、さまざまな試みも計画しています。日本代表に選ばれた選手たちを満員の中で闘わせることが私たち主催者の役目ですし、選手たちがその大会に出たことを誇りに思えるようなものにしていきたいと考えています」

――これを機にフルコンタクト空手の世界的な大同団結も加速していきそうですね。
「すでに各国でもフルコン連盟が設立され、その活動も着実に広がっています。世界大会を頂点として競技が発展していくことで、フルコンタクト空手界の団結もおのずと進んでいくでしょう」

――今大会とほぼ同じタイミングでヨーロッパでも世界大会の予選がスタートしています。
「出場選手の多い日本とヨーロッパの代表が同時期に決まるというのも興味深いですね。お互いライバルの存在が見えてきますから、ここから1年間の稽古にも影響すると思います。そして夏から秋にかけて各地域の代表メンバーも続々と決定していくので、徐々に世界的にも盛り上がりを見せていくと思います」

――日本代表メンバーは各階級3人ということで今大会では3位決定戦も行なわれます。そして選抜戦ということもあってか、今大会は階級を変えてきた選手もいますね。男子重量級には昨年の重量級(渡辺優作)と軽重量級(多田成慶)のチャンピオンが揃いました。シードには同じく優勝候補の後藤優太選手、多田大祐選手も控えているので激しい上位争いが予想されます。
「選手たちの意気込みも例年とは違うと思いますので、各階級とも熾烈な闘いが予想されます。昨年までの歴史の中で徐々にトップ選手たちの顔ぶれが定まってきた印象もありますが、一方で名のある選手でも連覇は難しいという現実もあります。誰がチャンピオンになってもおかしくないくらい実力が伯仲しているということですし、圧倒的に飛び抜けた選手がいるわけではないということでもあるでしょう。出場してきている時点で実力は十分にあるはずですから、誰にでもチャンスがあると言えると思います。渡辺選手、多田選手もトップレベルの実力者であるのはたしかですが、チャンピオン対決の実現は簡単ではないと思いますね。また、軽量級や軽中量級には体が出来上がっていない高校生の初出場者もいると思いますので、まだ全国的に知られていない新星が潜んでいる可能性もあります。男女すべての階級で目が離せない試合が続くことになりそうです」

――そんな群雄割拠の中にあっても、理事長は「強い者が勝つ」とつねにおっしゃいますね。
「厳しい闘いであるほど、心技体が本当に充実していなければ勝ち上がれないからです。実力があっても一瞬の油断で一本負けや反則負けを喫してしまうケースもあるように、高い集中力を持続しなければどこかで勝利を逃してしまいます。一方で運営サイドとしては、小林功大会審判長を中心としたルール説明や審判講習の徹底、各流派の先生方に審判に入ってもらうなど、あらゆる選手にとって公平な条件であることを重視しています。だからこそ、このトーナメントで優勝した選手は、まさに真のチャンピオンと言えると思います」

――今年7月21日には理事長が代表を務められている新極真会主催の賞金総額3000万円(優勝賞金1000万円)をかけたトーナメント『空手Champion of Champions』(KCC)が開催されると聞きました。男女体重無差別とのことですが、最後の1枠に今大会の男女重量級優勝者を選抜するそうですね。このKCCはJFKOの発展にも大きな影響を与えそうです。
「はい。男女1名ずつという狭き門ではありますが、ぜひKCCの代表枠も目指してがんばってほしいと思います。新極真会主催のイベントではありますが、今大会で出場権を得た選手は流派を問いません。KCCは今後2年に一度開催する計画ですが、今回は第1回大会なので、男女ともに日本人選手にチャンピオンの座を獲得してほしいと期待しています。WFKO世界大会と同じように、日本の誇りを持って闘ってほしいですね」

――KCCにはWFKO世界大会に選抜される可能性もあるヨーロッパや中央アジアの強豪選手が参戦するので、その点でも注目ですね。これからフルコンタクト空手界は、ますます熱くなっていきそうです。
「その新たな歴史のスタートとなるのが今大会です。選手には記憶に残る闘いを期待していますし、フルコンタクト空手を学ぶ子どもたちの夢がさらに広がり、JFKOが発展していけば素晴らしいと思います」

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