第5回全日本フルコンタクト空手道選手権大会・最終日


設立から6年を迎えたJFKOが、エディオンアリーナ大阪で第5回全日本フルコンタクト空手道選手権大会(JFKO全日本大会)を開催した。同大会は、2020年に開催されるフルコンタクト空手界初の統一団体による第1回全世界空手道選手権大会(WFKO世界大会)の日本代表選考会も兼ねており、男子は各階級3位まで、女子は2位までが代表権を獲得する。男子の準々決勝~決勝と、女子の準決勝~決勝が行なわれた大会最終日の模様を階級別にお届けする。はたして、世界への切符をつかんだのは誰なのか。

【男子軽量級】
準々決勝では、昨年の第1回国際フルコンタクト空手道選手権大会(JFKO国際大会)のチャンピオンである岡﨑陽孝(新極真会千葉南支部)が、無限勇進会の大野篤貴に延長で敗れる波乱が起こった。大野の他には、昨年の第1回JFKO国際大会準優勝の河瀬惇志(新極真会佐賀筑後支部)、第4回JFKO全日本大会準優勝の寺崎昇龍(士衛塾)、第1回JFKO全日本大会王者の大石航輝(芦原会館)がベスト4へ進出した。河瀬と寺崎の準決勝第1試合は、突きからの後ろ蹴りで技有りを奪った河瀬が続けざまに突きを連打し、寺崎から合わせ一本勝ち。もうひとつの準決勝は、大野が負傷による無念のドクターストップとなり、大石が不戦勝でファイナル進出を決めた。この結果、準決勝で敗れた寺崎と大野の3位決定戦は寺崎の不戦勝となり、河瀬、大石、寺崎の3名がWFKO世界大会への出場を決めた。

決勝戦は中間距離から互いに隙をうかがい、一気に距離を詰めた河瀬が突きを連打。大石も下段廻し蹴りを交えながら打ち合いに応じた。すると、大石の右下段廻し蹴りをもらった河瀬が突然崩れ、大石に技有り。すぐさま右の下段廻し蹴りで畳みかけた大石が2度目の技有りを奪い、合わせ一本勝ち。2014年の第1回JFKO全日本大会以来、5年ぶりの王座返り咲きをはたした。

【男子中量級】
準々決勝では、2年前の第4回全日本大会、昨年の第1回国際大会でともに中量級の頂点に立ち、今大会でも優勝候補の筆頭に挙げられていた白蓮会館の福地勇人が、後迫龍輝(新極真会大阪神戸湾岸支部)に最終延長で敗れるビッグサプライズが起こった。その他、田中裕也(山田道場)、石野源太郎(桜塾)、緑強志(新極真会福岡支部)が準決勝へ駒を進めた。田中と石野の一戦は、突きで攻め込む石野に対し、要所で蹴り技を的確にヒットさせた田中が本戦5-0で勝利。緑と後迫の新極真会対決は、左右の下突きとヒザを中心に攻勢に出た後迫の勢いが緑を飲み込み、本戦5-0で後迫がファイナル進出を決めた。
石野と緑の3位決定戦は、左右の下段蹴りを中心に攻める石野に対し、緑は突きの連打で反撃を試みるも、終盤にヒザ蹴りで緑を押し込んだ石野が5-0で快勝を収め、田中、後迫とともに世界への切符を手にした。

決勝戦は、後迫が開始直後からジリジリと間合いを詰め、突きの連打で先手を取る。田中はヒザ蹴りや前蹴りで距離を取ろうとするが、後迫は攻め手を緩めず突きと下段蹴りで優位に立ち、本戦5-0で田中を撃破。17歳の若さで中量級の頂点に立った。

【男子軽重量級】
四隅のシードに配置された島本一二三(新極真会広島支部)、前田勝汰(新極真会和歌山支部)、江口雄智(新極真会福岡支部)、加藤大喜(新極真会愛知山本道場)は全員が順当に準々決勝を突破し、ベスト4を新極真勢が独占した。島本と前田の準決勝第1試合は、突きで直線的に圧力をかける前田に対し、島本は回り込んで左右の下段蹴りを放っていく。前田が突きの回転を上げた際に島本が抱え込みによる2度の注意をもらい、勝負あり。本戦5-0で前田が決勝進出をはたした。もう一方の江口と加藤の試合は、本戦終盤から江口が突きの連打で勝負をかけると、ヒザ蹴りや下段蹴りで応戦していた加藤の動きが失速し、4-0で江口に軍配。対加藤初勝利を挙げるとともに、初の決勝進出をはたした。
昨年の第1回国際大会決勝戦と同じ顔合わせとなった島本と加藤の3位決定戦は、加藤が突き連打からの後ろ蹴りで島本に尻もちをつかせると、腹部に攻撃を集中させて試合の主導権を握り、本戦5-0で完勝。前田、江口、加藤の3名が日本代表入りをはたした。

前田と江口の決勝戦は、接近して打ち合った際に江口の突きが顔面を強打してしまい、前田の歯が欠けるアクシデントが発生。江口が顔面殴打による注意1をもらうと、試合再開後から前田が突きの連打で一気呵成にラッシュをかける。突きで応戦した江口だが、前田の圧力の前に押しでふたつ目の注意をもらい、本戦5-0で前田が優勝を決めた。

【男子重量級】
四隅のシードのうち、亀山真(新極真会福岡支部)は空手道MACの後藤優太に敗れたものの、落合光星(新極真会和歌山支部)、山口翔大(白蓮会館)、入来建武(新極真会東京城南川崎支部)は順当に勝利を収め、ベスト4が出揃った。落合と後藤の準決勝第1試合は、ジリジリと距離を詰めて突きと下段蹴りでペースを握った落合が、本戦5-0で勝利。続く準決勝第2試合は、山口が入来との突きと下段蹴りの打ち合いを優位に運び、終盤には山口が突きとヒザでラッシュをかけ、本戦5-0と差をつけた。
昨年の第1回国際大会チャンピオンであり、今大会の優勝候補筆頭と目されていた入来が敗れる波乱が起こったが、3位決定戦は下段蹴りで後藤の動きを止め、技有りも奪った入来が本戦5-0で完勝。落合、山口、入来が世界への切符をつかんだ。

決勝戦は接近して突きと下段蹴りを放つ落合に対し、山口は内股へのヒザ蹴りをコツコツと当てていく。その後は山口が右の下段廻し蹴りを連打し、ラスト20秒からは回り込んでの突きでラッシュをかける。山口が本戦5-0で勝利を収め、2年前の第4回JFKO全日本大会に続き、2度目の優勝をはたした。

【女子軽量級】
第1回~4回までJFKO全日本大会を4連覇している菊川結衣(芦原会館)は、準決勝で手島海咲(新極真会神奈川東横浜支部)と対戦。本戦0-0で迎えた延長戦でも両者ともに突きと下段蹴りを打ち合う拮抗した内容となったが、菊川が3-0で勝利を収めた。成田麗(七州会)と水谷恋(久保田道場)の準決勝は、最終延長までもつれる激闘の末、成田が4-1で昨年の第1回国際大会チャンピオンの水谷に土をつけ、初の決勝進出。この結果、菊川と成田が第1回世界大会の代表権を獲得した。
決勝戦は、突きと下段蹴りで菊川がペースを握ったかに見えたが、成田も突きと下段蹴りで盛り返し本戦は0-0。延長に入ってからも両者ともに突きと下段蹴りを打ち合ったが、わずかに菊川が優勢となり3-0で勝利。全日本大会5連覇を達成した。

【女子中量級】
昨年の第1回国際大会準優勝の岡田葵(桜塾)と第1・3回全日本大会チャンピオンの加藤小也香(新極真会愛知山本道場)の準決勝は、岡田の上段横蹴りが加藤の顔面にクリーンヒットするなど岡田がペースを握りかけたかに見えたが、加藤は終盤に突きとヒザでラッシュをかけて巻き返し、本戦3-0で勝利。もうひとつの準決勝は、第4回全日本大会チャンピオンの富野真麻(飛心会)と、第1回国際大会チャンピオンの南原朱里(新極真会福岡支部)の顔合わせとなった。本戦0-0で迎えた延長戦では、突きとヒザ蹴りを的確にヒットさせた南原が4-0で富野を下し、加藤と南原の新極真会勢が世界大会行きを決めた。
過去の対戦成績は1勝1敗と五分で迎えた加藤と南原の決勝戦は、距離を詰めて突きを連打する南原に対し、加藤は回り込みながら突きとヒザを放っていく。手数で優位に立った加藤が、本戦4-0で3年ぶりの優勝をはたした。

【女子軽重量級】
準決勝第1試合は、ノーシードから勝ち上がった15歳の漢藍理(拳栄会館)と、昨年の国際大会準優勝の浅古麗美(社団法人極真会館埼玉県木村道場)が激突。最終延長に突入した勝負は、要所で的確に技を決めた浅古が、4-1で勝利を収めて2年連続の決勝進出をはたした。もう一方の準決勝は、JFKOで3度の優勝実績を誇る木村敬代(武立会館)に石原凜々(新極真会岡山東支部)が挑んだ。試合終盤に突きのワンツーからヒザ蹴りでラッシュをかけた石原が、本戦3-1で初の決勝行きを決めた。この結果により、浅古と石原が世界大会の切符をつかんだ。
決勝戦は、本戦で浅古に旗が上がるも2本止まりで延長戦に突入した。間合いを詰めて突きと下段蹴りを繰り出していく浅古に対し石原はヒザ蹴りで応戦したが、手数の差か浅古が3-0で勝利を収め、悲願の初優勝を飾った。

【女子重量級】
準決勝第1試合では、第2・3回全日本大会チャンピオンの佐藤弥沙希(新極真会和歌山支部)が藤原桃萌(新極真会福岡支部)に本戦で敗れる波乱が起こった。準決勝第2試合は、昨年の第1回国際大会チャンピオンの久保田千尋(久保田道場)が、野邑心菜(新極真会宮崎中央道場)に突きの手数で差をつけ、延長4-0で勝利。藤原、久保田が世界大会への出場を決めた。
決勝戦は本戦、延長で決着がつかず、勝負は最終延長へ突入する。接近戦で激しく突きを打ち合ったが、手数で優位に立った久保田が5-0で勝利を収め、全日本、国際を合わせると4回目の優勝をはたした。

記念すべき来年の第1回WFKO世界大会へ向け、日本代表が決定した今大会。流派・団体の垣根を越えた最強JAPANが世界の舞台でどんな闘いを見せてくれるのか、今から待ち遠しい。

■男子軽量級
優 勝 大石航輝(芦原会館)
準優勝 河瀬惇志(新極真会 佐賀筑後支部)
第3位 寺崎昇龍(士衛塾)
第4位 大野篤貴(無限勇進会)

■男子中量級
優 勝 後迫龍輝(新極真会 大阪神戸湾岸支部)
準優勝 田中裕也(山田道場)
第3位 石野源太郎(桜塾)
第4位 緑 強志(新極真会 福岡支部)

■男子軽重量級
優 勝 前田勝汰(新極真会 和歌山支部)
準優勝 江口雄智(新極真会 福岡支部)
第3位 加藤大喜(新極真会 愛知山本道場)
第4位 島本一二三(新極真会 広島支部)

■男子重量級
優 勝 山口翔大(白蓮会館)
準優勝 落合光星(新極真会 和歌山支部)
第3位 入来建武(新極真会 東京城南川崎支部)
第4位 後藤優太(空手道MAC)

■女子軽量級
優 勝 菊川結衣(芦原会館)
準優勝 成田 麗(七州会)
第3位 手島海咲(新極真会 神奈川東横浜支部)
第3位 水谷 恋(久保田道場)

■女子中量級
優 勝 加藤小也香(新極真会 愛知山本道場)
準優勝 南原朱里(新極真会 福岡支部)
第3位 岡田 葵(桜塾)
第3位 富野真麻(飛心会)

■女子軽重量級
優 勝 浅古麗美(社団法人 極真会館 埼玉県木村道場)
準優勝 石原凜々(新極真会 岡山東支部)
第3位 漢 藍理(拳栄会館)
第3位 木村敬代(武立会館)

■女子重量級
優 勝 久保田千尋(久保田道場)
準優勝 藤原桃萌(新極真会 福岡支部)
第3位 佐藤弥沙希(新極真会 和歌山支部)
第3位 野邑心菜(新極真会 宮崎中央道場)

第5回全日本フルコンタクト空手道選手権大会はスポーツ振興基金助成事業申請活動です。またドーピング検査はスポーツ振興くじ助成申請活動です。



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