第7回全日本フルコンタクト空手道選手権大会・最終日

5月21日~22日の2日間にわたり、第7回全日本フルコンタクト空手道選手権大会(JFKO全日本大会)が、エディオンアリーナ大阪で開催された。前回大会の男子に続き女子にも軽中量級が新設されただけではなく、体重規定の変更もあり例年とは異なる顔合わせも実現した今大会。JFKO全日本大会としては3年ぶりとなる有観客の会場で、男子5階級、女子5階級にエントリーした選手たちが激闘を繰り広げた。

【男子軽量級】

最終日の初戦となった男子軽量級の準々決勝戦は、まずは澤井天心が昨年準優勝の紅谷凱に延長5-0で勝利。下突きの連打など積極的な組手で、早くも場内のボルテージを上昇させた。連覇を目指す魚本尚久真は、新里誠光を延長5-0で下し順当に勝利。その他では、笹裏健士朗と郷遼久が前回大会に続き準決勝に駒を進めた。
 準決勝第1試合の澤井と笹裏の一戦は、真剣で斬り合うような緊張感あふれる展開となった。カウンタータイプの笹裏に対し、澤井は巧みなスイッチから懐に潜り込み突きを連打。プレッシャーをかけ続けた澤井が本戦3-0で勝利した。魚本と郷の準決勝第2試合は、魚本が延長3-0で粘る郷を振り切った。
決勝戦は前回大会(魚本が勝利)でも対戦した魚本と澤井の顔合わせに。序盤は澤井が内股へのヒザ蹴りなどでペースを握りかけたが、接近戦での打ち合いのさなかに魚本の左上段ヒザ蹴りがクリーンヒット。初日に続く戦慄の一本勝ちで、公約通り軽量級の連覇に成功した。

【男子軽中量級】

混戦模様の軽中量級は、準々決勝でも熱戦が続出。初代王者の山﨑亮輝を本戦5-0で破った前平斗真に加え、同門の大坪裕希、岩田陽勇、水谷翔が準決勝進出を決めた。
準決勝第1試合は前回大会準優勝の岩多と、中段突きを軸とする組手でベスト4進出をはたした水谷翔が激突。両者ともに距離を潰しての打ち合いに終始し、最後は手数で上回った岩多が本戦5-0で決勝戦の切符を手にした。準決勝第2試合は前平と大坪の同門対決となり、試合は突きと下段を打ちあう合わせ鏡のような展開に。手の内を知り尽くした者同士の対戦は、本戦5-0で前平が勝利した。
どちらが勝利しても初優勝となる決勝戦は、序盤から激しい突きの打ち合いとなった。甲乙つけがたい内容となったが、やや前のめりになった前平が押しで二度注意を取られ不利な展開に。結果、最後まで攻め手を緩めなかった岩多が本戦5-0で初優勝を成し遂げた。

【男子中量級】

男子中量級は四隅のシード勢が実力通りの力を見せつけた。中でも第5回大会王者の後迫龍輝が、至近距離からの左上段廻し蹴りで金岡陽大から一本勝ち。同じく準決勝に進出した石野源太郎、𠮷澤穂高、田中裕也を上回るインパクトを残した。
準決勝第1試合は、𠮷澤と石野の組合せに。得意の下段廻し蹴りでペースを握った𠮷澤が、本戦5-0で決勝進出を決めた。準決勝第2試合は後迫と田中の対戦となり、最終延長までもつれ込む消耗戦となった。技有りにはならなかったが右上段廻し蹴りをヒットさせた後迫が、最後は4-1の判定で逃げ切った。
王者返り咲きを狙う後迫と𠮷澤の決勝戦は、序盤から両者が持ち味を発揮する展開となった。上下に技を散らす後迫に対し、𠮷澤は見るからに重い下段廻し蹴りで対抗。本戦3-0で後迫が王者に返り咲いたが、𠮷澤の闘いぶりも評価されて然るべきものだった。

【男子軽重量級】

昨年は新極真会がベスト4を独占したが、ディフェンディングチャンピオンの江口雄智が髙橋佑汰の圧力に屈し本戦0-4で敗退。昨年準優勝の湯川智仁を下した多田成慶、鳥原隆司、渡辺和志が準決勝に進出する中、髙橋道場の髙橋が現状打破に成功した。
多田と鳥原の準決勝戦は、左の下段廻し蹴りで鳥原を削った多田が本戦5-0で勝利。危なげのない組手で決勝戦へと進出した。準決勝第2試合は渡辺と髙橋の一戦に。カウンター狙いの髙橋に対し、渡辺は一気に距離を潰して下突きを連打。最後まで手数を緩めなかった渡辺が、本戦5-0で初のファイナル進出を決めた。
決勝戦は回転の速い突きで距離を潰してくる渡辺に対し、多田が得意のカギ突きと下段廻し蹴りで応戦。「足が太くなったのが勝因」と試合後にコメントしたように、下段でペースを握った多田が初のビッグタイトル獲得に成功した。

【男子重量級】

男子重量級は昨年のファイナリストである亀山真と入来建武が、安定した組手で準決勝に進出。後藤優太、そして多田大祐に延長3-2で辛勝した渡辺優作も、昨年に引き続きベスト4入りをはたした。
入来と渡辺の準決勝戦は、序盤から入来が打ち下ろしの下段廻し蹴りを繰り出し渡辺を翻ろう。本戦4-0というスコアにはなったが、数字以上に強さを感じさせる組手を披露した。連覇を狙う亀山は、戦前からポイントとして挙げていた後藤と準決勝で対峙。しかし初日から猛威を振るっている後藤の上段ヒザ蹴りがこの日も冴えわたり、二度の技有りを奪われた亀山が準決勝で姿を消した。
入来と後藤の決勝戦は、序盤から一本級の技が交錯する激しい展開となった。中盤、入来が中段突きで後藤のバランスを崩すと、そこから突きと下段廻し蹴りで一気にラッシュ。やや早いラストスパートにも見えたが、最後まで失速することなく手を出し続けた入来が、3度目となるJFKO優勝を成し遂げた。

【女子軽量級】

準決勝第1試合は昨年3位の清水未来と、第1~5回全日本大会で5連覇を達成している菊川結衣の対戦に。左右の中段突きで果敢に攻め合った清水だが、重い下段廻し蹴りを織り交ぜ真っ向から迎え撃った菊川が本戦5-0で勝利した。もう一つの準決勝戦は、連覇を目指す手島海咲が金城杏奈との突きの打ち合いを制し、本戦4-0でファイナルに進出。新旧王者対決を実現させた。
菊川と手島の決勝戦は、両者が突きと下段廻し蹴りをノンストップで打ち合う展開に。手数はほぼ互角だったが技の重さと的確性で上回った菊川が、本戦5-0で手島を下し3年ぶりにJFKO王者に返り咲いた。

【女子軽中量級】

第1回国際大会を制している水谷恋と、昨年の中量級で3位に入賞した冨村日花の準決勝戦は期待に違わぬ激戦となった。突きの連打で距離を詰める水谷に対し、冨村はリーチの差を活かした前蹴りやカウンターのヒザ蹴りで応戦。一進一退の攻防が延長戦中盤まで続く中、冨村が一瞬のスキを突いての上段ヒザ蹴りで技有りを奪い初の決勝進出をはたした。最終ゼッケンの石野まことは、渡部はるあの突きの連打を冷静に受け止め延長5-0で勝利。昨年の中量級に続きファイナル進出を決めた。
石野と冨村の決勝戦は、ヒザ蹴りを中心とする冨村の攻めを真正面から受け止めた石野が延長3-0で勝利。JFKOで悲願の初優勝を飾るとともに、新たに新設された女子軽中量級の初代王者に輝いた。

【女子中量級】

準決勝第1試合は昨年3位の吉田優輝と、第5回大会で中量級8位入賞の児玉亜瑞が激突。下突きでペースを握った吉田が、本戦5-0で初のファイナル進出を決めた。準決勝第2試合は第1・2回全日本大会と第1回国際大会を制している木村敬代と、第1・3・5回全日本大会の中量級覇者の加藤小也香が久々に邂逅。2010年以来12年ぶりとなる両者の対戦は、蹴り技を有効活用した加藤が本戦5-0でリベンジに成功した。
吉田と加藤の決勝戦は、吉田の突きと加藤の足技が交錯する形に。序盤は加藤がミドルレンジからのヒザ蹴りや下段廻し蹴りで距離を制したが、中盤以降は重い下突きで吉田が巻き返し本戦3-0で勝利。かねてからの憧れだったという夢の舞台で、悲願の初優勝を成し遂げた。

【女子軽重量級】

 3連覇を目指す浅古麗美と新極真会の新星・鈴木未紘の準決勝戦は、意地と意地のぶつかり合いとなった。ヒザ蹴りを軸に攻める鈴木に対し、リーチで劣る浅古も下段廻し蹴りで徹底応戦。延長戦までもつれ込む接戦となったが、わずかに手数で上回った浅古が3-0で鈴木を振り切った。準決勝第2試合は重量級で一時代を築いた久保田千尋が、第1回国際大会と第6回全日本大会で3位に入賞している目代結菜と対戦。この試合も延長戦に突入する接戦となったが、頭をつけての攻撃で2度注意を受けた目代が延長0-5で涙を飲んだ。
意外にも初対決となった久保田と浅古の決勝戦は、頂上対決にふさわしい一進一退の攻防となった。重量級から軽重量級に階級変更して臨んだ久保田は、軽重量級王者を前にしても真っ向勝負を展開。僅差の勝負となったが、手数を評価された久保田が本戦4-0で頂点に立った。

【女子重量級】

女子重量級の準決勝は、昨年のファイナリストである渡辺小春と野邑心菜が、それぞれ諏訪本わかなと本田志帆を本戦5-0で破り決勝戦に進出。優勝候補の二人が順当に勝ち上がった。
昨年と同じ顔合わせとなった決勝戦は、両者の持ち味が十分に発揮された好勝負となった。とくに過去に2度敗れている野邑は序盤から積極的に突きを繰り出し、リベンジへの執念を見せた。だが渡辺もディフェンディングチャンピオンとしての貫禄を見せ、重い突きと下段で次第にペースを奪取。結果的に延長3-0の僅差にはなったが、初出場で初優勝を飾った昨年に続き重量級を制してみせた。

■男子軽量級
優 勝 魚本尚久真(魚本流空手拳法連盟)
準優勝 澤井天心(新極真会 東京城南川崎支部)
第3位 郷 遼久(無限勇進会)
第3位 笹裏健士朗(聖武会館)

■男子軽中量級
優 勝 岩多陽勇(全真会館)
準優勝 前平斗真(新極真会 福岡支部)
第3位 水谷 翔(久保田道場)
第3位 大坪裕希(新極真会 福岡支部)

■男子中量級
優 勝 後迫龍輝(新極真会 大阪神戸湾岸支部)
準優勝 𠮷澤穂高(新極真会 東京城南川崎支部)
第3位 田中裕也(講士館)
第3位 石野源太郎(桜塾)

■男子軽重量級
優 勝 多田成慶(新極真会 福岡支部)
準優勝 渡辺和志(新極真会 世田谷・杉並支部)
第3位 鳥原隆司(新極真会 宮崎中央道場)
第3位 髙橋佑汰(髙橋道場)

■男子重量級
優 勝 入来建武(新極真会 東京城南川崎支部)
準優勝 後藤優太(空手道MAC)
第3位 渡辺優作(新極真会 世田谷・杉並支部)
第3位 亀山 真(新極真会 福岡支部)

■女子軽量級
優 勝 菊川結衣(芦原会館)
準優勝 手島海咲(新極真会 神奈川東横浜支部)
第3位 清水未来(桜塾)
第3位 金城杏奈(社団法人 極真会館 沖縄県支部)

■女子軽中量級
優 勝 石野まこと(桜塾)
準優勝 冨村日花(新極真会 神奈川東横浜支部)
第3位 渡部はるあ(悠心道場)
第3位  水谷 恋(久保田道場)

■女子中量級
優 勝 吉田優輝(新極真会 川崎東湘南支部)
準優勝 加藤小也香(新極真会 愛知中央支部)
第3位 児玉亜瑞(新極真会 大阪神戸湾岸支部)
第3位 木村敬代(武立会館)

■女子軽重量級
優 勝 久保田千尋(久保田道場)
準優勝 浅古麗美(社団法人 極真会館 埼玉県木村道場)
第3位 目代結菜(新極真会 東京城南川崎支部)
第3位 鈴木未紘(新極真会 厚木・赤羽支部)

■女子重量級
優 勝 渡辺小春(武奨館)
準優勝 野邑心菜(新極真会 世田谷・杉並支部)
第3位 本田志帆(宮本道場)
第3位 諏訪本わかな(総極真 選手会)

第7回全日本フルコンタクト空手道選手権大会はスポーツ振興基金助成事業です。


第7回全日本フルコンタクト空手道選手権大会ドーピング検査はスポーツ振興くじ助成事業です。

Follow me!