第9回全日本フルコンタクト空手道選手権大会・決勝日

5月25日~26日の2日間にわたり、「第9回全日本フルコンタクト空手道選手権大会(JFKO全日本大会)」が、エディオンアリーナ大阪で開催された。今大会は2025年5月31日~6月1日に有明アリーナで開催される「第1回全世界フルコンタクト空手道選手権大会(WFKO世界大会)」の日本代表選抜戦として開催されることもあり、熱戦が続出。大会決勝日は男子5階級の準々決勝戦~決勝戦、女子5階級の準決勝戦~決勝戦が行なわれ、日本代表30名が決定した。

【男子軽量級】

準々決勝戦は、ゼッケン1を背負った魚本尚久真が本戦終了間際に鮮やかな上段ヒザ蹴りで冨山未来斗から技有りを奪い、5-0で勝利。その他、前回大会王者の澤井天心や新里誠光、紅谷凱も準決勝進出を決めた。
準決勝第1試合は、魚本と新里が激突。延長に突入した勝負は、突きとヒザで攻めた新里が5-0で勝利。紅谷と澤井が対峙したもうひとつの準決勝戦は、一瞬の隙を突いた上段ヒザ蹴りで技有りを奪った紅谷が制し、歴代王者の魚本と澤井がここで敗退した。
魚本と澤井による3位決定戦は、突きと蹴りで積極的に攻めた澤井が本戦5-0で魚本を下し、代表権を獲得。どちらが勝っても初優勝となる決勝戦は、紅谷が左右のヒザ蹴り連打で新里を攻め立て、本戦3-0で悲願の頂点に立った。

【男子軽中量級】

準々決勝戦は、前回大会王者の平木楓が井上龍成に本戦5-0で勝利を収めた他、前回大会準優勝の大坪裕希、前回大会3位の前平斗真、呉屋広樹と有力選手が順当にベスト4へ進出した。
準決勝第1試合は、大坪と呉屋が激突。本戦は呉屋に2本の旗が上がったものの、延長戦で注意を4つ取られた呉屋が失格となり、大坪の勝利。続く前平と平木の一戦は、攻防の最中に平木が金的を押さえて試合が中断。長いビデオ判定の末、前平の蹴りは内股にヒットしたとみなされ、平木は虚偽申告により失格となった。
3位決定戦はスピーディーな攻防が展開されていたが、呉屋が胸をつけての攻撃と顔面殴打で2度の反則を取られ、平木が本戦5-0で日本代表入り。大坪と前平の新極真会福岡支部同門決勝は、つねに先手を取って攻めた前平が優位に試合を運び、本戦5-0で初優勝を飾った。

【男子中量級】

準々決勝戦は、四隅のシードである𠮷澤穂高、福地勇人、後迫龍輝が順当に勝利を収めた一方、過去3回3位入賞の実績がある石野源太郎が塚本慶次郎に敗れる波乱が起こった。
第6回大会の決勝戦以来、3年ぶりの対戦となった福地と後迫の準決勝戦は、静かな立ち上がりの中で放たれた福地の上段前蹴りがクリーンヒットし、技有り。本戦5-0で歴代王者対決を制した。もう一つの準決勝は、距離を取る塚本の懐に入って𠮷澤が攻撃を仕掛けた際に塚本に2度の注意が宣告され、𠮷澤が本戦5-0で勝利を収めた。
後迫と塚本の3位決定戦は、序盤から後迫が突きと下段蹴りをコツコツと当てていったが、終盤に突きからヒザでラッシュをかけた塚本に3本の旗が上がり、新星が世界大会行きの切符をつかんだ。前回大会準決勝の再戦となった𠮷澤と福地の決勝戦は、最終延長戦まで互角の攻防が展開されたが、𠮷澤が2度の反則を取られ福地が5-0で勝利。国際大会を含め4度目の制覇となった。

【男子軽重量級】

準々決勝戦は、初日にトップシードの髙橋佑汰を破って勢いに乗る金岡陽大が髙橋耕介を下し、初のベスト4入り。その他、渡辺和志、片桐大也、早川羅偉が準決勝進出を決めた。
準決勝戦。渡辺と片桐は互角の攻防を繰り広げたが、渡辺が顔面殴打と抱え込みの反則で注意2。片桐が本戦5-0で決勝行きを決めた。早川と金岡の準決勝戦は、本戦で2本、延長で1本の旗が上がった早川のペースで進んだが、最終延長戦で盛り返した金岡が5-0で逆転勝利を飾った。
3位決定戦は、延長戦終盤に突きとヒザでラッシュをかけた渡辺が早川を4-0の判定で撃破し、日本代表入りを決めた。決勝戦は、かつて淑徳巣鴨高校空手道部の先輩・後輩の関係にあった金岡と片桐が激突。距離を取る片桐に対し、金岡は間合いを詰めにかかる。甲乙つけがたい攻防が繰り広げられたが、片桐の3度の反則が響いたか金岡が本戦5-0で初優勝をはたした。

【男子重量級】

準々決勝戦は、前回大会王者の渡辺優作、第7・8回大会準優勝の後藤優太、前回大会3位の多田大祐、第7・8回大会軽重量級王者の多田成慶が勝利を収め、四隅のシード全員が準決勝に進む順当な結果となった。
後藤と成慶の準決勝戦は、成慶が後藤の懐に強引に入り込み、突きを連打。そのまま攻め手を緩めず、成慶が本戦4-1で後藤を撃破した。大祐と渡辺の準決勝第2試合は、本戦終盤に突きと下段蹴りでラッシュをかけた大祐が、前回大会王者を本戦5-0で破った。
3位決定戦は、前回大会決勝戦と同じ顔合わせとなる後藤と渡辺が激突。終盤にペースを上げて突きとヒザでラッシュをかけた後藤が、本戦5-0で日の丸をつかんだ。決勝戦は、成慶と大祐による「多田」対決となった。本戦は大祐に2本の旗が上がり、迎えた延長戦。大祐が左右の下段廻し蹴りで猛攻をしかけ、延長5-0で悲願の初優勝を飾った。

【女子軽量級】

前回大会準優勝の森みいなと山中咲和の準決勝第1試合は、突きの連打で優勢となった森が延長4-0で勝利。澤井ナノと清水由埜の一戦は、下突き連打で圧力をかける清水の前に澤井が押しの注意を2回取られ、清水が本戦5-0で澤井を退けた。
山中と澤井の3位決定戦は、澤井が3度の注意を取られ、山中が本戦5-0で世界への切符を手にした。前回大会と同じ森と清水の顔合わせとなった決勝戦は、激しい突きの打ち合いとなった。清水は下突き連打で徐々に優勢となり、本戦5-0で大会連覇を達成した。

【女子軽中量級】

準決勝第1試合は、第4・6回中量級王者の富野真麻と第6回大会軽量級3位の小嶋夏鈴が激突。突きで圧力をかける富野に対し小嶋は押しの注意を2回取られ、富野が延長5-0で勝利。第7回大会軽中量級王者の石野まことは水谷藍に対し、本戦終盤に左右の下段廻し蹴りで優勢となり、3-0の判定で決勝進出を飾った。
小嶋と水谷の3位決定戦は、終盤に突きと下段蹴りで攻撃をまとめた水谷が本戦3-1で勝利。第6回大会女子中量級決勝戦以来、3年ぶりの激突となった富野と石野のライバル決勝は、突きで圧力をかけた富野が本戦3-1で石野を下し、富野、石野、水谷の3名が日本代表入りを決めた。

【女子中量級】

初日に2年連続軽中量級準優勝の冨村日花を破って台風の目となった漢鈴那は、準決勝第1試合で細谷誉と対戦。強烈な突きで漢がペースを握り、本戦4-0で新世代対決を制した。もうひとつの準決勝戦は、前回大会軽中量級王者である水谷恋と井上ほの花が激突。井上が2度の注意を取られ、水谷が本戦5-0で井上を下した。
細谷と井上の3位決定戦は、延長戦の手数で上回った井上に軍配。4-0の判定で代表権を獲得した。延長戦に突入した漢と水谷の決勝戦は、突きの連打からの下段廻し蹴りで水谷が強さを見せ、5-0の判定で勝利。昨年の軽中量級に続き、階級をまたいだ連覇を達成した。

【女子軽重量級】

準決勝第1試合は篠原智美と久保田千尋の顔合わせとなったが、初日に負ったダメージで篠原にドクターストップがかかり、久保田の不戦勝。準決勝第2試合は網川来夢と目代結菜が激突。互いに技を出し合う好勝負は、手数でやや優位となった目代が延長4-0で網川を退け、2年連続のファイナル進出をはたした。
3位決定戦は篠原の棄権により、網川が不戦勝で日の丸を手中に収めた。久保田と目代が対峙した決勝戦は、久保田が胸への突き連打からの下段蹴りで優勢となり、延長4-0で目代を撃破。国際大会を含めじつに6度目の頂点に立った。

【女子重量級】

昨年だけで3度対戦している漢藍理と藤原桃萌の一戦が、準決勝戦で実現。最終延長にもつれ込んだ白熱の試合は藤原が突きと下段蹴りで優勢となり、5-0の判定で決勝進出を飾った。前回大会軽重量級王者の鈴木未紘は、準決勝第2試合で小林由依菜と対戦。鈴木が突きからの下段廻し蹴りでペースを握り、本戦5-0で勝利を収めた。
漢と小林の3位決定戦は、突きと下段廻し蹴りの手数で上回った漢が本戦3-0で小林を退け、代表権をつかんだ。藤原と鈴木の決勝戦は、突きと下段廻し蹴りで優位に試合を運んだ鈴木が延長5-0で藤原を撃破。昨年の軽重量級に続いて重量級も制した。

また準決勝戦終了後には、大阪学園大阪高校和太鼓部『笑龍』による和太鼓演奏、少年演武が行なわれ、会場が大いに盛り上がった。その後は3月の青少年大会で入賞をはたしたカラテトレジャーズの選手たちが登壇し、未来のフルコンタクト空手界を担う原石たちが紹介された。続いて青少年大会の団体成績上位5団体の表彰が行なわれた(1位・新極真会福岡支部、同率2位・新極真会東京江戸川支部、七州会、4位・極真拳武會さいたま浦和支部、5位・桜塾)。

(リザルト)
■男子軽量級

優 勝 紅谷 凱(極真拳武會 さいたま浦和支部)
準優勝 新里誠光(武立会館)
第3位 澤井天心(新極真会 東京城南川崎支部)
第4位 魚本尚久真(魚本流空手拳法連盟)

■男子軽中量級

優 勝 前平斗真(新極真会 福岡支部)
準優勝 大坪裕希(新極真会 福岡支部)
第3位 平木 楓(白蓮会館)
第4位 呉屋広樹((一社)極真会館関西総本部)

■男子中量級

優 勝 福地勇人(白蓮会館)
準優勝 𠮷澤穂高(新極真会 東京城南川崎支部)
第3位 塚本慶次郎(新極真会 世田谷・杉並支部)
第4位 後迫龍輝(新極真会 大阪神戸湾岸支部)

■男子軽重量級

優 勝 金岡陽大(新極真会 川崎東湘南支部)
準優勝 片桐大也(極真拳武會 城南品川支部)
第3位 渡辺和志(新極真会 世田谷・杉並支部)
第4位 早川羅偉(桜塾)

■男子重量級

優 勝 多田大祐(白蓮会館)
準優勝 多田成慶(新極真会 福岡支部)
第3位 後藤優太(空手道MAC)
第4位 渡辺優作(新極真会 世田谷・杉並支部)

■女子軽量級

優 勝 清水由埜(桜塾)
準優勝 森みいな(成心會 福岡支部)
第3位 山中咲和(新極真会 高知支部)
第4位 澤井ナノ(新極真会 東京城南川崎支部)

■女子軽中量級

優 勝 富野真麻(白蓮会館)
準優勝 石野まこと(桜塾)
第3位 水谷 藍(久保田道場)
第4位 小嶋夏鈴(新極真会 東京江戸川支部)

■女子中量級

優 勝 水谷 恋(久保田道場)
準優勝 漢 鈴那(新極真会 佐賀筑後支部)
第3位 井上ほの花(新極真会 東京城南川崎支部)
第4位 細谷 誉(新極真会 埼玉大宮西支部)

■女子軽重量級

優 勝 久保田千尋(久保田道場)
準優勝 目代結菜(新極真会 東京城南川崎支部)
第3位 網川来夢(新極真会 福岡支部)
第4位 篠原智美(新極真会 福岡支部)

■女子重量級

優 勝 鈴木未紘(新極真会 厚木・赤羽支部)
準優勝 藤原桃萌(新極真会 福岡支部)
第3位 漢 藍理(新極真会 佐賀筑後支部)
第4位 小林由依菜(桜塾)

第9回全日本フルコンタクト空手道選手権大会はスポーツ振興基金助成事業です。

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