第8回全日本フルコンタクト空手道選手権大会・決勝日

5月20日~21日の2日間にわたり、第8回全日本フルコンタクト空手道選手権大会(JFKO全日本大会)が、エディオンアリーナ大阪で開催された。昨年の3年ぶりの有観客開催に続き、今年はマスクなしでの声出しを解禁。かつての熱気が蘇る中、男子5階級、女子5階級にエントリーした選手たちが激闘を繰り広げた。

【男子軽量級】

最終日の初戦となった男子軽量級の準々決勝戦は、まずは澤井天心が新里誠光に本戦3-0で勝利し一番乗りでベスト4進出を決めた。第6回大会準Vの紅谷凱は、2大会連続で入賞をはたしている郷遼久との打ち合いを制し本戦5-0で勝利。笹裏健士朗と田淵海との一戦は、田淵が初日の三回戦で顔面殴打を受けた影響で欠場に。笹裏が不戦勝という形で準決勝へと駒を進めた。他を圧倒する組手で初日を駆け抜けた魚本尚久真は、粘る山川慧大を延長5-0で退け準決勝進出を決めた。続く準決勝第1試合の澤井と紅谷の一戦は、紅谷の猛攻を振り切った澤井に軍配。2年連続での決勝進出をはたした。準決勝のもう一試合、笹裏と魚本の一戦は、両者譲らぬ拮抗した試合展開となったが、魚本が顔面殴打を含む3つの注意により本戦5-0で敗退。笹裏が初の決勝進出を決めた。決勝戦は本選では決着がつかず、延長戦では攻め手を緩めなかった澤井が3-0で悲願の初優勝を達成した。

【男子軽中量級】

大坪裕希と多田耀成の一戦は、両者合わせ鏡のように突きと下段廻し蹴りを繰り出す展開に。判定ももつれ、延長3-2の僅差で大坪が逃げ切った。福永匠真と水谷翔の試合も甲乙つけがたい内容となったが、手数で上回った福永が本戦4-0で勝利した。河瀬惇志と平木楓の準々決勝第3試合は、河瀬の金的攻撃と押しの注意が判定に響き、平木が本戦5-0で勝ち上がった。前回大会準優勝の前平斗真と堀江俊明の一戦は、序盤から圧力をかけ着実にダメージを与えていった前平が勝利した。準決勝1試合は大坪と福永が対戦。福永は準決勝と同じく勢いのある組手で大坪に迫ったが、大坪が冷静に対処し本戦5-0で決勝に進出。一方の平木と前平の準決勝は両者譲らない拮抗した闘いとなったが、押しによる注意2つを受けた前平が0-5で惜敗した。大坪と平木による決勝戦は、両者一歩も譲らぬ拮抗した展開となったが、手数で上回った平木が本戦5-0で初優勝。ベスト8の壁を一気に超えるとともに、文部科学大臣賞も受賞した。

【男子中量級】

初優勝を狙う𠮷澤穂高が大場孔揮の追随を許さず、本戦5-0で順当に勝ち上がった。福地勇人と田中裕也の技巧派対決は、遠い間合いから多彩な蹴り技が飛び交う展開に。延長中盤まで互角の展開が続いたが、田中の左中段ヒザ蹴りの直後に福地の胴廻し回転蹴りがクリーンヒット。戦慄の一本決着となった。第3・5回大会軽重量級王者の前田勝汰は、ブランク前と変わらぬ回転の速い重い突きで押し込み石野源太郎を本戦で下した。3年連続での顔合わせとなった後迫龍輝と金岡陽大の準々決勝第4試合は、突きの手数でやや上回った後迫が本戦3-0で勝利した。続く準決勝戦、まずは𠮷澤と福地が登場。顔面殴打により𠮷澤は一時倒れ込むも強い気持ちで試合に復帰し、最終延長となってもその動きは衰えることなく5-0で決勝へと進出した。一方の前田と後迫の準決勝戦。前田はこれまでと変わらぬ力強い突きで攻め立て、本戦3-0で決勝に進出した。クライマックスとなる𠮷澤と前田の一戦は、互いが得意とする下段廻し蹴りと突きで一進一退の攻防を展開。しかし、ブランクを感じさせない重く、スピードのある突きで攻め続けた前田が本戦4-0で復活Vを達成した。

【男子軽重量級】

前回大会準優勝の渡辺和志と加藤大喜の準々決勝第1試合は、距離を詰めて突きの連打で攻める渡辺と、多彩な足技も織り交ぜる加藤という展開に。気持ちが前のめりになった渡辺が押しで注意2を取られ、加藤が本戦5-0で準決勝進出を決めた。樋口和真と第6回大会王者・江口雄智の一戦は、樋口の顔面殴打、押しによる注意2もあり江口が勝ち上がった。髙橋佑汰と早川羅偉の準々決勝第3試合は、髙橋のカウンターのヒザ蹴りと早川の重い突きが交錯。髙橋が本戦4-0で逃げ切った。前回大会王者の多田成慶は、カギ突き、下段廻し蹴りだけではなくヒザ蹴りも要所で散りばめ、粘る亀山大輔を本戦5-0で退けた。準決勝第1試合の加藤と江口の一戦は、経験豊富な加藤が多彩なコンビネーションを披露し、江口を本戦5-0で退けた。もう一方の準決勝戦は、軽やかなステップワークで仕掛ける髙橋の攻めを冷静にかわし、下段廻し蹴りや重たい突きで攻めた多田に軍配があがった。決勝戦では、両者持ち味を発揮し攻め合うが、加藤の注意3が響き、本戦5-0で多田が連覇を達成した。

【男子重量級】

3位入賞が続く渡辺優作は、持ち前のスピードで芦高侑平に的を絞らせず本戦4-0で勝利。河合透吾と第6回大会王者の亀山真の一戦は、両者が巧みにスイッチを繰り返す心理戦に。中盤から前蹴りでペースを握った亀山が、本戦3-0で河合を振り切った。多田大祐と落合光星の準々決勝第3試合は、両者相譲らず延長戦に突入。僅差の勝負となったが、手数で上回った多田が最終的には5-0で逃げ切った。続く岡田侑己とラストゼッケンを背負う後藤優太の一戦は、ヒットアンドアウェーで距離を取る岡田に対し、後藤も的確に下段廻し蹴りを繰り出す。終盤の打ち合いでやや優勢に立った後藤が、本戦5-0で準決勝進出を決めた。前回大会3位同士の渡辺と亀山の準決勝戦は、亀山の胸がうっ血するほどの力強い突きで攻めたてた渡辺が本戦5-0で勝利し決勝に進出。続く多田と後藤の一戦は、互いの出方を伺うような接近戦に。最終延長戦までもつれたが、後藤が5-0で逃げ切り決勝へ進出。渡辺と後藤による決勝戦は、重い突きと下段廻し蹴りを軸に攻め立てた渡辺が本戦5-0で勝利。長らくファイナルの壁に阻まれていたが、自身初となるビッグタイトルの獲得に成功した。

【女子軽量級】

準決勝第1試合は清水未来を破り勝ち上がってきた森みいなと、前回大会3位の金城杏奈の顔合せに。両者は序盤から、近距離での突きと下段廻し蹴りで真っ向勝負を展開。延長に入っても両者相譲らず、勝負は最終延長に突入。結果、最後まで手数を緩めなかった森が、延長4-1で勝利した。もう一つの準決勝戦は宇都宮美咲を下しベスト4入りを決めた清水由埜と、王座返り咲きを狙う手島海咲が激突。試合はノンストップの打ち合いとなり、本戦は清水に旗1本の1-0で引き分けに。延長戦も胸をつけての打ち合いとなり、圧力でやや上回った清水が第6回大会王者を破り決勝戦に進出した。清水と森による16歳同士の決勝戦は、序盤から互いにスピード感のある組手を展開。ほぼ互角の展開だったが、有効な手数が多かった清水が4-0で勝利し、初出場初優勝を飾った。

【女子軽中量級】

準決勝第1試合で前回大会準優勝の冨村日花と、第6回大会中量級王者の富野真麻という好カードが実現。突きで圧力をかける富野に対し、冨村はヒザ蹴りで応戦。着実にヒザを突き刺した冨村がファイナル進出を決めた。第1回国際大会を制している水谷恋と前回大会王者の石野まことの準決勝第2試合は、両者ともに足を止めての突きの打ち合いに。一発の重さでは石野ながら、手数で主導権を握った水谷が延長5-0で勝利した。初優勝を目指す冨村と、第1回JFKO国際大会以来となる優勝を目指す水谷の一戦は、本戦では決着がつかず。延長戦では本戦と全く変わらぬ軽快な動きを見せた水谷が上回り5-0で勝利。足踏みが続いた3大会分の雪辱を晴らす優勝をつかんだ。

【女子中量級】

混戦のAブロックを勝ち抜いた伊藤煌彩と第5・6回大会軽重量級王者の浅古麗美の一戦は、まずは伊藤が臆することなく先手で攻め込む。だが後半に巻き返した浅古が、本戦4-0で粘る伊藤を振り切った。準決勝第2試合は第1・3・5回大会中量級王者の加藤小也香が、成長著しい森涼葉を迎え撃った。積極的に攻め込んだ森だが、加藤が絶妙な距離感で攻めを受け流し本戦4-0で勝利した。決勝戦は経験豊富な選手同士の対決となり、本戦では決着がつかず延長戦へ。手数でわずかに上回った浅古が4-0で勝利し、第6回大会以来となる王座奪取をはたした。

【女子軽重量級】

 入賞の常連である目代結菜と前回大会中量級女王の吉田優輝を破り勝ち上がってきた松田理央の一戦は、序盤から自分の距離を保った目代が本戦5-0で勝利。第1回国際大会&第1・2回全日本大会で軽重量級を制している木村敬代と初優勝を目指す鈴木未紘は、バリエーション豊かな攻めを見せた鈴木がベテランを振り切り本戦4-0で決勝戦進出を決めた。決勝ではスピードのある突きを繰り出す目代に対し、突きだけでなくヒザや下段への廻し蹴りなどバリエーションのある組手で攻めた鈴木が、本戦4-0で勝利。悲願のJFKO初優勝を成し遂げた。

【女子重量級】

前回大会3位の本田志帆を破り勝ち上がってきた漢藍理と藤原桃萌の準決勝第1試合は、重い突きでペースを握った漢が本戦4-0で勝利。鴨宮菜々花と2大会連続で準優勝に輝いている野邑心菜の一戦は、突きの連打と中段ヒザ蹴りで押し込んだ野邑が本戦5-0でファイナル進出を決めた。女子最後の一戦は本戦では決着がつかず延長戦に突入。両者譲らない展開を見せたが、本戦よりもさらにギアを上げた野邑が漢を4-0で下し、前々回、前回準優勝の借りを返すとともに自身初となるビッグタイトルを手中に収めた。

なお、男子各階級の準々決勝を終えた後に開会式を実施。式の後半にはJFKO青少年大会で入賞をはたしたカラテトレジャーズの選手たち80名とともに、鬼越トマホークの二人が登場。壇上では第2回大会の中学1年生男子重量級王者である村田哲成(新極真会福岡支部)とおなじみのネタを披露し、村田の突きや蹴りを二人が受けることに。最初は余裕の表情だったが、強烈な中段前蹴りや突きと蹴りのコンビネーションを受けた二人は、14歳とは思えない村田の強さに恐れおののいていた。

■男子軽量級

優 勝 澤井天心(新極真会 東京城南川崎支部)
準優勝 笹裏健士朗(聖武会館)
第3位 紅谷凱(極真拳武會 さいたま浦和支部)
第3位 魚本尚久真(魚本流空手拳法連盟)

■男子軽中量級

優 勝 平木楓(白蓮会館)
準優勝 大坪裕希(新極真会 福岡支部)
第3位 前平斗真(新極真会 福岡支部)
第3位 福永匠真(KWF極真会館)

■男子中量級

優 勝 前田勝汰(新極真会 和歌山支部)
準優勝 𠮷澤穂高(新極真会 東京城南川崎支部)
第3位 後迫龍輝(新極真会 大阪神戸湾岸支部)
第3位 福地勇人(白蓮会館)

■男子軽重量級

優 勝 多田成慶(新極真会 福岡支部)
準優勝 加藤大喜(新極真会 愛知中央支部)
第3位 髙橋佑汰(髙橋道場)
第3位 江口雄智(新極真会 福岡支部)

■男子重量級

優 勝 渡辺優作(新極真会 世田谷・杉並支部)
準優勝 後藤優太(空手道MAC)
第3位 亀山 真(新極真会 福岡支部)
第3位 多田大祐(白蓮会館)

■女子軽量級

優 勝 清水由埜(桜塾)
準優勝 森みいな(成心會 福岡支部)
第3位 手島海咲(新極真会 神奈川東横浜支部)
第3位 金城杏奈(社団法人 極真会館 沖縄県支部)

■女子軽中量級

優 勝 水谷 恋(久保田道場)
準優勝 冨村日花(新極真会 神奈川東横浜支部)
第3位 石野まこと(桜塾)
第3位 富野真麻(白蓮会館)

■女子中量級

優 勝 浅古麗美(一般社団法人 極真会館 埼玉県木村道場)
準優勝 加藤小也香(新極真会 愛知中央支部)
第3位 伊藤煌彩(新極真会 世田谷・杉並支部)
第3位 森 涼葉(新極真会 高知支部)

■女子軽重量級

優 勝 鈴木未紘(新極真会 厚木・赤羽支部)
準優勝 目代結菜(新極真会 東京城南川崎支部)
第3位 木村敬代(武立会館)
第3位 松田理央(淑徳巣鴨空手道部)

■女子重量級

優 勝 野邑心菜(新極真会 世田谷・杉並支部)
準優勝 漢 藍理(新極真会 佐賀筑後支部)
第3位 藤原桃萌(新極真会 福岡支部)
第3位 鴨宮菜々花(武立会館)

第8回全日本フルコンタクト空手道選手権大会はスポーツ振興基金助成事業です。

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